「西こぎん」といえば、西目屋村。西こぎんの発祥地として近年、若いこぎんファンの注目を集めています。
新たな観光スポットの整備も進んでいるということもあり、来年春発行予定の『そらとぶこぎん』誌上で、「こぎんの故郷を訪ねて(仮題)」というミニ企画を考えています。ということで、行ってきました、西目屋村。
こぎんの歴史については不明な点が多い中で、「西こぎん」に関しては発祥地が西目屋村らしいと、昭和の再興期から言われていました。その西目屋発祥説を象徴するのが「目屋人形」です。
西目屋村は森林資源に恵まれ、かつては「目屋炭」といって木炭の名産地でもありました。炭を背負って山を下り、売りに行くのは女性の仕事で、その仕事姿を模したのが目屋人形の始まりだとか。人形は絣の着物を身に着けていますが、昔々は西こぎんだったとみられています。
晴れ着でもあり、労働着でもあった西こぎんは肩に補強の横縞を入れ、前身頃に装飾的な模様が個性豊かに施されています。そして後ろ身頃には例外なく魔除けの模様。運搬中の安全を祈り、重い炭俵に耐え、おしゃれ心も満たしたいという女性たちの知恵や工夫の賜物とみることができるのです。
次号のミニ企画では、炭俵を運んだ女性たち(便宜上、「炭女」すみじょと略します)に思いを馳せることを一つのテーマにできないかなと考えています。
西目屋村は世界自然遺産白神山地の玄関口であり、豊かな自然を存分に堪能できる体験プログラムが多数用意されています。「白神カレンダー」という予約サイトがあり、今回はその中から「里山探見!にしめや」というミニツアーに参加を申し込み、地元ガイドの三上金一さんに案内してもらいました。
このツアーの見どころはたくさんありますが、こぎんの観点でいえば岩谷観世音へと続く山道は、炭女が歩いた風景を疑似体験できるかもしれません。今のように舗装された道路がない時代、昔の人は川伝いに歩くこともありました。炭女もきっとそう。
ガイドの三上さんによると、今年は雨が少なく、川の水量も少ないそうです。
川にかかる橋は現在は頑丈なコンクリート製ですが、以前はゆらゆらと揺れる木製の吊り橋で、数か所に渡してあったそうです。
念のため、クマ除けの笛を吹きながら山道を進む三上さん。橋を渡った先に、2分の1ほどのサイズで6年前に復元されたマタギ小屋と炭小屋がありました。
西目屋で作っていたのは「白炭」だったそうで、村では昨年から目屋炭の復活に取り組んでいます。
所要時間およそ3時間のミニツアーは、青森に住んでいながら初めて見たり聞いたりするものばかりで、日を改めて取材に入ることにしました。ツアーのお土産はこぎん模様がプリントされたしおり。そらとぶこぎんメンバーの石田舞子の著書『ゆめみるこぎん』から転載された西こぎんの図案です!
なんと、1か所間違いがあるそう。わかりますか~?
旅の締めくくりは「道の駅津軽白神」にて、西目屋産そば粉を使ったざるそば&白神焙煎炭焼珈琲。目屋の恵みを石田と一緒においしくいただきました♪
それではまた。編集長の鈴木でした。
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