第5号発売中!

 編集長の鈴木です。

 

 10代のころ住んでいた家から歩いて数分の場所に「こぎんの家」がありました。平屋の玄関先に大きな漬け物樽があるのを横目で見ながら通り過ぎるだけの少女時代を送り、閉館したことにも気付きませんでした。

 その「こぎんの家」が前田セツさんの活動拠点だったと知ったのは30代のころでしょうか。一昨年、実に24年ぶりに一般公開され、わたしも初めて見学させていただきました。止まっていた時間が再び動き出したかのような、セピア色の思い出に色が加わっていくような不思議な体験でした。

 「こぎんの家」にはこぎん刺しの作品をはじめ、新聞記事や写真などセツさんの足跡がしっかりと保管されています。地元にとっては一級の郷土資料であり、しかるべきところで保存すべきものだと思いました。その貴重な資料群をご遺族のご厚意で調べさせていただき、ライターの石田舞子が記事にまとめました。

 セツさんがすごいなあと思うのは、情熱を注いだのがこぎん刺しだけではなく、漬け物作りでも名を馳せた「二刀流」だったことです。実は、こぎん刺しの先輩たちには二刀流の方が少なくありません。一つの道を究めるだけでも難しいのに、そのパワーは一体どこからくるのか? 女性の生き方としても読みごたえのある内容となっています。

 もう一つの特集は、青森県内で見つけた三縞こぎんの続報です。

 三縞こぎんの調査の過程で浮上した「ノッペラジャシ」というこぎんについて調べ、わたしが推論を書きました。

 現在は一般的になっている「東こぎん」「西こぎん」「三縞こぎん」という3分類によって古作こぎんを見ることの危うさを指摘させていただきました。

 

 そのほか、連載「あなたにとってこぎんとは?」第5回は、「こぎんアトリエつぼみ」の名前で活動している藤崎町の棟方保子さんがご登場。ひと味違う作品キットを作り出す保子さん。こぎん刺しとの出会いとは?

 大好評の「私のたからもの」は、弘前市のエッセイスト片山良子さん。『暮しの手帖』で活躍した片山良子さんに今回寄稿いただきました。

 「石田家アーカイブズ」は東こぎんです。今回も図案を掲載しましたので、作品作りにお役立てください。

 

 第5号は定価1000円(税込み)で販売中。津軽書房へお申し込みください。青森県内の各書店や手芸店、Amazonでも取り扱い中です。

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