編集部、首都圏担当の小畑です。東京もいよいよ寒くなってきましたが、「銀座にたくさんのこぎん模様が現れた!」という明るいニュースを聞いたので、目撃してきました。
こぎん模様のディスプレイ「Kogin × Christmas」(12/25まで)を行っているのは、銀座の中心、数寄屋橋交差点にある東急プラザ銀座です。クリスマスに向けて11月4日から「クリスマスクロッシング〜交差点が織りなす出会いと繋がり」というプロモーションテーマの下、館内の各店舗がこぎんのオーナメントを吊り下げたリースやクリスマスツリーを展示していました。
エントランス近くの壁にドーンとこぎん模様が踊る巨大なポスターが張られ、館内エスカレーター脇の仕切りにもモドコのシールが張られ、さらには3つのフロアでファッションや雑貨とモドコ模様があしらわれたアクリル板が展示されており、館内はまさに“こぎん尽くし”!圧巻です!萌えます!!
このディスプレイを監修したのは、『そらとぶこぎん』もお世話になっているグラフィックデザイナーでkogin.net主宰の山端家昌さん(青森県おいらせ町出身)。26日、同店メインエントランスとなっているエスカレータの上部にこぎんのパターンを組み合わせた「こぎんツリー」のイルミネーションがスタートしたことを確認に来た山端さんに、お話を伺うことができました。
こぎんディスプレイは、山端さんのこぎんをデザインした様々な取り組みに注目した東急プラザ銀座からの打診がきっかけとなり実現したとのこと。こぎん刺しが布の表裏を糸が行き来する様や菱形の模様が線で繋がっている図案が「クリスマスクロッシング」のテーマに重なるとして、「kogin × X'MAS」のコラボレーションに繋がったそうです。
加えて、東急プラザは館内の各所に江戸切り子の細工を取り入れるなど伝統工芸を大切にする姿勢を貫いており、「伝統工芸という視点でもこぎん刺しがぴったりハマったのでは」と山端さん。
そもそも「こぎんツリー」とは、山端さんが3年前に伝統柄の大小のモドコを組み合わせてクリスマスツリーのようにデザインしたもので、図案を添えたキットは今年も発売とともに大人気です。その図案がLEDパネルになって夜の銀座を照らす様子を見上げながら、山端さんはこう話しました。
「高校生の自分がこぎんに出合った2000年の頃は、こぎんに注目、研究する人は今ほどいませんでした。20年経ったいま、銀座の一等地にこぎんが彩りを添えているなんて感慨深いです。ツリーには伝統柄しか使っていません。つまり、古作の美しさが銀座に認められたということ。僕はデザイナーとして配置やバランスをお手伝いしただけ」。つまり、デザインの力が新たなこぎんの見せ方、表現を広げたということに、聞いている私も感激しました。
山端さんは今年3月に開催を予定していたこぎんブックマーケットの中止を決めたことにも思いをはせて、こう続けました。「コロナで大変なことも多い年だったけれど、津軽の人の手から生まれたこぎん刺しで温もりを感じてもらい、みんなが笑顔になってくれたら嬉しい」。こぎんツリーのイルミネーションの上に広がる大きなデジタルサイネージでは、クリスマスらしい赤い背景の上にこぎん模様がひらめきながら落ちて、まるで雪のよう。交差点の喧騒の中にいながら静かに降り積む青森の雪を思い出し、いつまでも見ていたい気持ちになりました。
東急プラザ銀座では、同店のクリスマスの様子を撮影してInstagramで投稿するとお買い物券などが抽選で当たるキャンペーンや、お買い上げ金額に合わせたこぎん刺しキットのプレゼントを実施中。山端さんが動画で指導する「お家でできるこぎん刺し体験ワークショップムービー」もウェブサイトで公開しています。
企画は12月25日まで。人混みを避けつつ、銀座で津軽の手仕事の温もりを感じてみてはいかがでしょう。